春だね。

そろそろ春だね、と言ってもいい感触になってきたきがする。桜はもう散り、まばらにしか咲いてないけれど。真っ暗な部屋で、不貞腐れて目を瞑って収まりの良い腕の間に潜り込んで静かにしている時を思い出す。私は眠ったふりをして規則正しく呼吸をする。それ以外何もしない。頭を触る彼の手は、私のもみあげ辺りの髪の毛を1束ずつ引き出し、顔の横へ綺麗に整列させてゆく。今日の空を見て何となく思い出した。とてもいい天気とは言えない曇り空。雨が降りそうだな。